LLMが発達し、饒舌に語るようになったことで
「AIは“意味”を理解しているのか」
というような問いが聞かれるようになった。
現時点では
「AIが意味を理解して話している」
ということはないだろう
(とはいえ、現代のAIの“思考”過程は研究者にも完全には分からないそうで、
「AIが“意味”を理解しているか」
は、“AI本人”にしか分からないのかもしれないけれど)。
それはさておき、
「“意味”を理解しているか」
と
「饒舌に語ることができるか」
には何の関係もない。
私はわりと饒舌に野球を語る。打率を語り、ペナントレースを語り、監督を語る。変化球を語り、フォームを語り、球歴を語る。
しかしそんな私は野球を全く理解していないのだ。全くルールを分かっていない。
三振は分かる。本塁打も分かる。四球も分かる。ゴロアウト、フライアウト、ヒットももちろん分かる。…と言いたいところだが、実は微妙である。
というのは走塁が全く分からないからで、結局、
「走者がいつ走っていいのか」
「いつ走ってはいけないのか」
「いつ帰塁しなければならないのか」
「帰塁したら走っていいのか」
が分からないわけだ。[^1]
(ということはつまり、少なくともゴロアウトは理解しているということにならなくないか)
(他には“配球”の話も分かっていない。内角に投げるとどういう効果があり、低めだとどういうことが起こりやすいのか、ちんぷんかんぷんなのだ)
つまり、野球の根本的なことが分からずに、ヤクルトスワローズだの、大谷翔平だの、野村克也だのについて語っている。
つまりテキトーにしゃべっている。
私がほかのこと、税制やら戦国武将やら映画やらについて語っているときもだいたいそうで
(そしてまた、
「ある程度はそれでよい」
とも思っている)、
つまり人間もまた、“意味”など多くは理解していない。
…と、いうようなことを、
「AIは意味を理解しているか」
問題を考えながら考えた、という話。
[^1]:たまに、
「3アウト目の直前に、本塁にランナーが行くことで1点入る」
というようなことがあるが、あれは一体何なのか)